青白い街

毎日天気以外に気にしていることといえば、
自分は地元が好きなのかということです。
地元が好きなのかどうかということは、
自分のルーツを見つめる上での重要要素となっており、 ここが曖昧だとあらゆる主張の整合性が取れなくなります。

私は小・中・高を地元の田舎で過ごし、大学進学時に上京してきました。
友情・努力・勝利のあるある人生です。
都会で数年過ごしてみて、少なくとも東京は好きではないのですが、 地元が好きだったのかということに結論は出せていません。

家は好きじゃありませんでした。これは覚えています。
学校とか街もまあ普通だったと思います。
天気は嫌いでした。
ただ、人は好きだったと思います。

好きな人は大勢います。今は家族も好きです。
でも、地元で出会った人たちの中には上京した人もいるし、 残っている人たちもいるけど、死ぬ人たちもいます。
だから、みんな引っ越すか死ぬかしたら、
本当に地元が好きじゃなくなるんじゃないかと思います。

人が聞いたらかなりどうでもいい感じですが、
私は結構深刻に好きか嫌いか悩んでいるのです。



というのが事実に基づいて考えた結果で、
事実に基づかなければ結論は出ています。


私は地元が好きです。
理由は懐かしいから。


よくよく思い出してみると、
いつも落下しそうな黒い雲と共にあった生活で、
常に気分が落ち込んでいた気もしますが、
あのスーパー懐かしいな、とか
ここを通って登校してたな、とかの
懐かしいという気持ちだけで全てをゴリ押しし、
暗い地元を懐かしくて愛しいものと誤認することを 私は良しとしています。


懐かしいは全てに救いをもたらします。

人間の真の営みとは、
未来をつくることではなく、
過去を肯定して清算することです。


未来に責任を持つのはやめよう。